2015年12月8日火曜日

書評:本の逆襲

紙の本が好きだし、
ネットではなく街の本屋さんが好きだ。

そんな私にとって、
電子書籍の台頭や、
インターネット通販による書籍の流通は
とても気掛かりだ。

便利なものは使いたいけど、
好きなものにもなくなって欲しくない。

主催する読書会では紙の本を使うし、
時々インターネットでも買い物をするけど、
本屋さんをうろついて、
ピンときた本を手に取り、
気に入った本を買って持ち帰る、
そんな行為がとても好き。

そんな我儘な私に友人が勧めてくれた本がある。




内沼晋太郎(著) 朝日出版社
『本の逆襲』は、本の未来は明るい、と断言する。

出版業界は斜陽産業だが、それは「本」の未来とイコールではないというのだ。
実際に本書の中では、既存の「本」という枠組みを取り外した様な、
様々な取組・仕掛けが紹介されていて、
「ワクワクと活動的な本」の姿を感じ取ることが出来る。

例えば、本書の中では以下の様な切り口が書かれている。

1 本の定義を拡張して考える
2 読者の都合を優先して考える
3 本をハードウェアとソフトウェアとに分けて考える
4 本の最適なインターフェイスについて考える
5 本の単位について考える
6 本とインターネットとの接続について考える
7 本の国境について考える
8 プロダクトとしての本とデータとしての本とを分けて考える
9 本のある空間について考える
10 本の公共性について考える

細かくは本書に詳しいので割愛するが、
感じたことは、これらは
「あらゆる産業で考えなければならない視点」
であるという事。

出版業界の再販制度や委託制度といった特殊性は
本書でも触れられているが、
「いやいや、ウチの業界は特殊だから・・・」
といった言い訳はそこそこの年月を経た業界であるならば
必ず聴くことができる愚痴の一つだ。

つまり本書で紹介されている具体例は、
決して「本」に関わる人、本に関心がある人だけでなく、
新規事業やイノベーションの必要性を感じている
多くの(つまり殆どの)ビジネスパーソンに
参考にしてもらえるのではないかと感じた。

本書では「本はインターネットに溶けていく」といった表現がされているが、
これは全てが電子化されていく事を意味している訳ではなく、
Iot(モノのインターネット)というキーワードで抽象化されている様な
ネットとリアルのよりシームレスな連携が、
本に置いても着実に進行している中で、
読書会等の活動を通じた「新しい本の使い方・本との関わり方」について
これからも考えてみたいと思った。

★行動のヒント
・定義を拡大する事
・ユーザーの都合で考える事
・インターネットとの融合を考える事

最後までお読みい頂きありがとうございました。

宮木俊明

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