2015年8月31日月曜日

書評:スタンフォードの自分を変える教室

物事を成すには、
自分の強みを生かしつつ、
「継続的な努力の積み重ね」であったり
「決して諦めない不屈の精神」等が
重要であるとされている。

成功には、才能だけではなく
むしろそれ以上に、
強い精神力、
つまり「意志力」がキーになるのだろうか。

人間の持つ「意志力」とは何なのか?
そして、どの様に活用すればよいのか?



ケリー・マクゴニガル(著) 大和書房
『スタンフォードの自分を変える教室』は、
「意志力」の正体について、
抽象的な精神論ではなく、科学の光をあてて明快に解き明かしつつ、
新しい行動を始めたり、望まない行動を止めたりといった
「行動の変容」を引き起こすための具体的な方法論が説かれている。

「運動や睡眠が”意志力”とどう関わるのか?」
「どうして、直接関係のない小さな目標への取組が
より大きな目標へと近づく力になるのか?」
「食事した内容を書くだけで痩せる?」
本書を読むと、我々の行動の一つ一つが
自分の意志力を変化させる事、
そして筋肉のように意志力は鍛えることが出来るという事が
裏付けを持って理解出来る。

また、心理学的な実験に関する話題もとてもおもしろく、
「良いことをしたと思うと、次に悪いことをしたくなる」
といったモラル・ライセンシングの話や、
「自分は変わるんだ」と
「決心するだけ」でいい気分になってしまう負のスパイラルの話など、
知的好奇心を満たしてくれるだけでなく、
行動を起こす際の注意点を多く教えてくれる。

どうすれば上手くいくかという視点だけでなく
どの様な罠があるのかも含めて、
それぞれ具体的な根拠を持って解説してくれているため、
「根拠が明確で無いと取り組む気になれない」
という私の様な頑固者も、変容へと突き動かされた。

行動の一つ一つを変えていくことが、
好ましい自分へと成長する一歩だと理解し、
それを実験の様に楽しみながら始めてみたいと思える、
タイトルに負けない内容を伴った本として、
オススメしたい。


★行動へのヒント
・自分の思考に興味を持つ(今何を感じているのか)
・反省はすれど、決して責めない(むしろ労る)
・「何が大事なのか」「どうして始めたのか」を忘れない
・どんな事でも続けると楽になる

最後までお読み頂きありがとうございました。

宮木俊明

2015年8月26日水曜日

『4次元読書会』第5回「目標に向かって行動を起こす読書会〜4次元スペシャル版〜」@青山 開催レポート

2015年8月20日(木)19時より。
7名の参加者で開催。

学生の方や、静岡からの出張を利用して参加して頂いた方等、
今回も様々な方々にご参加頂くことができた。

この読書会は、参加者同士で協力しながら
持ち寄った本の内容を短時間で読み解き、
加えて、それぞれの経験を共有することで
楽しく、深く学べる「参加型・共創学習」の手法を採っている。


第五回となる今回は「四次元スペシャル」と題して、
以下の3冊を課題本として「人を4種に分類するメソッド」各種について
それぞれの相違点・類似点を比較しつつ、
参加者同士のタイプをお互いに理解し合う過程を通じて
短時間で自分も含めた「人」を理解することを目指して計画した。

・『ユダヤ人大富豪の教えⅢ』 本田健(著)
・『才能は開ける』 ロジャー・ハミルトン(著)
・『らせんの法則で人生を成功に導く春夏秋冬理論』 來夢(著)



参加者の皆様に、事前にそれぞれのメソッドに対応した
3種類の無料テストを受けて頂き、
当日その結果を共有して頂いた事で、
それぞれのタイプの特徴を実体験として捉えるキッカケにもなり、
手前味噌ながら、
理解が早まり、学びが深まったと感じている。


「良くわからなかった”実際の利用方法”が良くわかった」
「普段本を読まないし、読書会初参加で不安だったけど、とても有意義な時間を過ごせた」
等々、実際に参加者の皆様からの嬉しいお声も頂戴できた。

最後に各自で
「24時間以内に絶対に実行可能な小さな一歩=ベイビーステップ」
を定めて頂き、無事に楽しく読書会を終えることができたと思う。

より学びを深めていく為にも、
次回は休日などに時間を使って開始してみたいとも感じた。

本当に素晴らしい時間を共有することができ、
ご参加頂いた皆様に深く感謝したい。


☆☆ 主なアンケート結果 ☆☆

普段付き合いのない人たちと関わってみたいと思い、
人を知る手段、自分を知る手段が知りたくて参加。最初の雰囲気作りが良かったし、目的を持って本を読むと読書が早く、 一気に3冊の本の概要を知ることができた。今後の仕事選びや仲間たちとの関係の中で自分がどういう役割を果たしていけば良いのか?答えを出せた気がする。本当に短時間で、その本を知れて、他の人の意見を知れて、早い本の読み方を知れるよ!
(小尾 真太郎 さん)

春夏秋冬、ウェルスダイナミクス、本田健さんの人間関係のマトリクス、色々な物があるが
いまいちわかっていなかったので深く知りたかった。
各々三冊を使うことで、より一つ一つの中身(各々の特徴)が理解でき、とても腑に落ちた。
そして、とても面白かった!!
それぞれの分類方法について。
 今までは自分だけを調べて自分の使い方ばかりにフォーカスしていましたが、
今後は色々な場面で使えそうです。
この会は今までの読書会で一番良かった!!
超オススメ読書会です!!
(民部 司 さん)


四次元、特にウェルスダイナミクスって何だ?と思い、入り口程度ても知りたいと思ったため参加しました。実際に自分のタイプを知るってとても面白いと思いました。今日学んだ事で、他の人が何を考えているのか知ったり、うまく付き合う為の手段の一つになると思いました。この読書会は楽しみながら本が読めるよ!
(中村 英正 さん)


分類することに興味があったので、そして色々な分類の共通点を見てみたかったので参加しました。とても楽しく、話しやすい雰囲気でリラックスして参加することができました。自分の才能に気付き、一歩踏み出してみたいと感じました。これまで何となく共感をしていたものの、それを才能とまでは捉えていなかった部分についてとても前向きに考えられるようになりました。「本を読みたくなるよ!」「色んな事が知りたくなるよ!」「一体感が生まれるよ!」と皆さんにお伝えしたいです!
(S.M.さん)

元気になりたくて参加しました。この読書会は集中してのめり込める雰囲気があって良かったです。今後役立てられそうです。とてもおもしろいです!!
(田中 孝 さん)

自分のタイプを知り理解しながら、他の人の考え・タイプを参考にしたいと思い参加。コンセプトが良く、皆さんで集まることで、相手を理解し、自分を理解する読書会になり、参加者の皆さんへの共感がわいた。本のコンセプトを理解することで、これから自分が豊かになる助けになると思います。今日得た知識を早速周りに伝えながら、読書会に誘ってみたいと思いました。
(ニックネーム:よっしーさん)




★行動のヒント
・自分の強みを知る
・相手の強みを知る
・感情に寄り添う
・流れとタイミングを読む


最後までお読み頂きありがとうございました。

宮木俊明




2015年8月5日水曜日

書評:◯に近い△を生きる

学生の頃の「勉強」では、
いかに早く、正確に「正解」に辿り着くかが問われたが、
実社会、ビジネスの現場や人間関係の中では
正解は一つではないし、そもそも何が正解かなんて誰にも解らない事ばかりだ。


この様な物言いは様々なと所で目や耳にするが、
そうだとすると、何を指針にどの様に生きるべきなのだろうか。

ひとつ一つの決断、判断を自分で考え、
試行錯誤することは面白い所でもあり、
その中で個性が磨かれても行くと思う一方
望んだ結果が得られなきことが続くと苦しい。

そして、その苦しみの原因の一つに、
意識的にも無意識的にも、
ついつい「正解」を望んでしまう事が有るような気がしている。




鎌田實(著) ポプラ新書
『◯に近い△を生きる−「正論」や「正解」にだまされるな』
は、唯一無二の正解を追い求める人生ではなく、
自由な考え方で生きようと誘う。

「☓でも◯でもない無数の新しい△を信じて生きてみよう」
不自由で堅苦しい二元論ではなく、
無数に存在する正解でも不正解でもない「別解」を求める所に、
無限の可能性と自由があるという。

本書の中には片腕のピアニスト、舘野泉さんの例が紹介されている。
「脳卒中で右腕が動かなくなったピアニスト」という絶望的な状況の中で、
◯か☓かではなく、新しい△として「片腕のピアニスト」という別解を選んだことで、
日本のどの大ホールでもチケットが売り切れる人気アーティストになったという。

また、割り切れない現実の中で、常に「別解」を探す生き方、
これは、極端に走らないという意味もあって、
例えば本書では「だらしないベジタリアン」というスタンスも推奨している。
これは、普段はベジタリアンだけど、
人にススメられたり、何か特別な時は肉も食べてしまう、
そんな別解を認める事で実は「調度良い」バランスが保てるという。


この様な考え方は、仏教における中道や、
儒教における中庸にも、通じる部分が有る気がしていて、
本来、我々日本人が得意としてきた所なのかも知れない。

この辺りの考え方に触れ、
本書とは離れるが、自動車メーカーのHONDA創設者の
本田宗一郎氏が幼いころに学んだと言われている逸話を思い出した。

「30㎝の定規を二人の人が掴んでいる時、真ん中はどこか?」
当然15㎝の所かと思われるのだが、
宗一郎氏の父親の答えは、
「14㎝から16㎝の間」
であったという。

正に杓子定規に割り切るのではなく、
お互いに譲り合うような気持ち、
◯ではなく△を目指す様な余裕が無いと、
現実は上手くいかない事も多いという教えなのだと思っている。


著者は長年、医師・病院長として、
地域医療や国際協力にも貢献してきているが、
医療という、人の生き死に、
命のやりとりの現場から得てきたこの様な知見は、
強い説得力を持って、多くの人の心に響くのではないかと思う。


★行動のヒント
・「△で良いんだ」と思って行動へのハードルを下げる
・正解を求めすぎず、正論を振りかざさない様に気をつける
・できるだけみんなが幸せになるような別解、第三案を求める


最後までお読みい頂きありがとうございました。

宮木俊明


2015年8月3日月曜日

第3回「ランニング読書会」@青山 開催レポート

2015年7月25日(土) 朝9時より
フェーン現象による猛暑日にも関わらず、
6名の参加者にお集まり頂き、
「ランニング読書会」を開催した。

「ランニング読書会」は、
本を通じてランニングの”楽しさ”を再発見して頂く事を目的に、
青山一丁目の会場で「ReadForAction形式の読書会」を実施し
得られた気付きや学びを、
直後の「皇居ランニング」によって即行動に移すことで、
楽しみながらも学びを最大化。


読書会パートでは、
本を参加者同士でグルグルと交換しながらその本に対する質問を作り、
回答を探し、それを共有することで
持ち寄った様々な本から重要なポイントを効果的に理解する方法で読み進めた。

「トレーニングだけでなく、精神修養、栄養、休養が重要」
「共通の目標を持った仲間の存在が大切」
「体幹を意識したフォーム」
等々、様々な角度からランニングへの興味を高めつつ
読書会パートを終了した。


続いてのランニングパートでは、
前回と同じく、半蔵門駅傍のランニングステーション「Joglis」に移動し、
支度をして荷物を預けた後、
皇居を周回するコースで、ランニングを実践。


炎天下でのランニングの為、
熱中症対策として「OS-1」を配布しつつ、
ストレッチや簡単なペアワークを行って身体を解してから
スロージョギングでまずは皇居を1周。

ちょうど早歩きくらい、8分/km程度のペースで、
会話を楽しみながら、体幹を意識したフォームのポイントなどをチェックしつつ
参加者全員、無事に完走をすることができた。

その後、希望者のみ、それぞれのペースでもう一周を走り、
ランニングパートを終了した。

尚、2週目の途中で、テレビ東京の取材を受けた。
放映されるのかどうか全く解らないが、稀な経験になった。


「とても達成感のあるイベントだった」
「また参加したい」
といった、とても嬉しいコメントを頂け、
改めて、今後も継続していきたいと思った。


参加者それぞれ、1〜2周のランニング終了後に
ランニングステーションに戻り、
シャワーで汗を流し、着替えを済ませた後に、
希望者による懇親会も楽しく過ごすことができた。


ご参加頂いた素晴らしい皆様に深く感謝したい。



☆☆ 主なアンケート結果 ☆☆

とても面白い読書の方法でした。
学んだ事を、今後活かしていけそうです。
Let's Run Together!
(E.T. さん)

ランニングと読書会という組み合わせが面白そうで、走って健康的な生活を送るためのきっかけづくりの為に参加しました。
ランニングに関する知識を何も持たずに出席してしまったため、どんな本を持って行こうかというところに戸惑いましたが、持ち寄った本をみんなで回し合い、パラパラと読めた事で、走る前に気をつけるポイント(体幹、意識、肩甲骨を寄せる等)が知れて良かったです。
ランニングって気持ちが良いんだということが実際に走ってみて良くわかりました。そしてやはり、一緒に走る仲間がいるということが心強いと思います。また読書会に参加して、ランニングをじわじわ習慣にして行きたいと思います!
苦しみが喜びに変わる瞬間を体感できるよ(笑)
(土井 絢香 さん)

いい汗をかけたし、ランニング前の読書会で、
初めてお会いした方々の人となりが解ってとても過ごしやすかったです。
とても楽しいイベントです!
(T.T. さん)

勉強→実践のステップ・プロセスが効率的な
楽しいイベントでした。
Step by Step で今日の学びを取り入れて行けたらと思います。
ランニングに真面目に取り組みたいと考える方にも
とても良いイベントです!
(中村 聡伸  さん)

ランニングに関するコミュニケーションを通じてスキルを高めたいと思い参加。
今後に役立つ経験ができて満足。
素晴らしいランニングができる場がココある。
(上田 英和 さん)

再び走り始める為のきっかけ作りとして参加。
体を動かすのはとても気持ちが良いと改めて思ったし、
こんな読書会は他にはないな〜!
これからも今日教わった事を思い出しながら走ろうと思いました。
プチ観光もできて、気持ちよくもなる、面白い読書会!
(中村 英正 さん)


★行動のヒント

・なぜ走るのか
 − 根源へのアプローチがモチベーションを高め、維持する事に繋がる



・無理をせず、効率的に楽しむ
 − 環境整備も含めた工夫や改善に取り組む

・苦しみが喜びに変わる瞬間を楽しむ
 − 全ての出来事は、それをどう捉えるかで大きく意味付けが変わってくる



最後までお読み頂きありがとうございました!

宮木俊明





2015年8月2日日曜日

書評:経済学の95%はただの常識にすぎない

経済学とは?

広辞苑には、「経済現象を研究する学問」とある。

経済現象には当然、
人の営みが大きく関与しており、
心理学、社会学、人類学、政治学などと隣接した分野であるとされていて、
自然の営みを対象とする化学や物理学等の「自然科学」とは、
その対象は異なる。

一方で、経済学の手法を持ってすれば、
森羅万象を科学的にアプローチできるとし
「経済学は自然現象を含めた万物をその手中に収めている」
かの様に語られる事もあるらしく、
そのような切り口の書籍も出版されている。




ハジュン・チャン著 東洋経済新報社
『経済学の95%はただの常識にすぎない』
では、「経済学は政治的議論である」と言っている。

つまり、経済学は科学ではないし、
「議論」である訳で、統一的な解答が得られる種類のものでも無いという訳だ。

その証拠に、少なくとも経済学には9つ程度の学派があって、
それぞれが異なる前提やルールの上に成り立っているため、
どの学派の主張を採用するかによって全く異なる解答が導かれる事になる。

時に為政者の都合に合わせて、あるいは為政者へのアンチテーゼとして
各学派の主張が成立しているのだが、
その成立過程や中心となる考え方がバランスよく語られていて、
大変興味深い。


貧困や食料問題、経済格差の問題等、
世界の課題の多くは経済の問題で、
経済的側面が解決すれば問題その物がなくなる様な物も少なくない。

一般的なイメージでは
例えば雇用や製造と、「経済学」とでは
直接的には関連しないように思ってしまうのだが、
経済学的な見地からこれらを見つめなおすと、
改めてその重要性により深みが与えられる様に感じられた。


「経済学」のみならず
あらゆる学問や仕組みは、
例えそれが政治的議論であったとしても、
それぞれの役割の中で、人を幸せにするためのツールであるべきであって、
有効なツールを有意義に使いこなす為に、
それを学ぶのだろう。

経済学が扱う「お金」
(これも一つのツールな訳であるが)
について、学ぶことは、あまりにも重要な事なので
専門家だけに任せておいてはいけないと、
著者は語る。

情報が溢れかえり、不確実性が高い現代において
その重要性はより高まりを見せていく様に感じている。

本書は、初心者向けのガイドブックと位置づけられていて、
歴史的な変遷や、実際の利用方法までわかり易くまとめらていて、
「専門家任せ」から脱却する最初の一歩としては
かなり楽に歩幅を稼げた気がした。


★行動のヒント
・経済学もそこで扱う「お金」もツールなので、その使い方が大切。
・答えがないからこそ、ツールを使いこなし、そこから自分なりの見解、哲学を検討してみる。

最後までお読み頂きありがとうございました。

宮木俊明